SPAとは、アート作品のようなエディションNo.とQRサーティフィケーションが付いた直筆サイン入りのミニポートレートです。
技術の進歩によって複製可能な美術品が世の中に登場しました。古くは版画に始まり、シルクスクリーン、写真など、印刷できるモノ、量産できるモノは、作品と製品の狭間で受け取り側の主観を含めて実に微妙な価値観を人々に植えつけてきました。
同じモノを複数作れる作品に対して作家はいつの頃からか“エディション”という考え方を編み出して、量産のデメリットを打ち消すことに成功しています。「この作品は20しか作りません」といった工夫です。その証にエディションNo.を「1/20」のような形で作品の隅や裏に記し、希少性を担保しています。このような仕組みは、作家と買い手の双方にとってメリットをもたらしています。
アーティストのライブ現場でのチェキ撮影サービスは、「作家の時間を限定回数提供し、出来上がった作品は量産不可能である」とみなすことができます。もちろん、それはこの世に一点しか存在しない、持ち主にとってはかけがえのないものになりますが、見かたを変えれば、ユニークピースである上に、内容が持ち主個人と強く結びつくため、普遍的な価値が産まれにくいモノともいえます。
このような状況をもったいないと感じ、限定数だけアーティストの写真を作り、それぞれの写真に本人が手書きでサインとデコレーションを施したモノを、販売するサービスを開始しました。それが『SPA』です。
異なるデコレーションが施された数十枚のSPAは、それぞれ最初の持ち主の手に渡ります。そこでずっと大切にされるSPAもあれば、他の人の手に渡るSPAもあるかもしれません。流通性を確保するために、SPAには『QRサーティフィケーション』が付いています。デコレーション済の写真は運営主体によってスキャンされ、写真裏に付いているQRコードをたどれば、最初の状態が確認できるようになっています。
さらにWebベースの技術で様々な新しいアイディアを加えることもできます。例えば、アーティストやグループごとに、リリースされたSPAを全部確認することが可能なカタログ・レゾネが自動的に作られます。
われわれはこのような工夫で、アーティスト写真を「小さなアート作品」へと変貌させることを標榜しています。2017年9月3日の『Vocal & Dance Collection Vol.1』からスタートしたSPAは、今後もVDCだけでなく様々なライブやイベント、サービスとコラボレーションを重ねていく予定です。今後の展開にご期待ください。